この第9番は、それより以前のもの(第1番から第8番まで)とは、全く違う曲調です。弾けば弾くほど、心の奥深へと揺さぶられます。そして、興味がつきる事がないのです。
第2楽章の美しいヘ長調の後、イ短調の第三楽章は、緊迫感をもって始まります。
1小節ごとのスラーが弾きにくいことも特徴で、それは鼓動の速さなのか、何なのかと思ったりします。また、これが長いスラーであったら、どんなに弾きやすいことかとも思うのです。
この形式が続いた後、中間部はイ長調に転調し、それがミュゼット風なのです。開放感と愛おしさを、音で表現できる喜びを感じる中間部です。