デュルニッツ男爵に献呈された6曲のソナタの第6番で、別名デュルニッツと呼ばれています。一般的には、初期の作品の方が技術的に簡単なのではと思われがちですが、それは違います。第1番も、意外に弾きづらいもので、例えばピアノ協奏曲も、若い番号は弾きづらいものが多くあります。この第6番は規模も大きくなり、複雑な動きが多くあります。この第2楽章は、表題にポロネーズによるロンドとあり、この形式を持ってくるのは珍しいことです。
私は、当初、演奏してもポロネーズに感じられなく、心地悪さだけが残ったものです。モーツァルトはいったい、どのように弾いたのであろうかとも考えたりしました。
演奏するまでの過程で、自分の中にイメージがあって、それをより深く追求していくはずなのに、この楽章は、私の体の中に音楽を持ち合わせていないのではないかとすら思いました。
悩んで悩んだ末、出来上がったのがこの演奏です。しかし今では、最初のテーマが幾度となく装いを変えて出てくる愛らしさに魅了されています